こんにちは。たきこ(@butaon_takiko)です。
前々から、舞台業界×働きやすさについて考えていた私。
ネットサーフィンをしていたとき、ユラブロさんが「在宅ワーク×正社員」の働き方についてまとめている記事をいくつか読みました。
最近気になった記事。舞台業界でこんな働き方はできるのか?ブログにまとめてみます…!
3児の育児とフルタイム勤務を両立できる、在宅ワーク正社員のすすめ https://t.co/CLf5ZtrTQK @YURAmarieから
— たきこ@舞台の恩返し (@butaon_takiko) July 28, 2019
今回は、
- 在宅ワーク×正社員の働き方を知ること
- 舞台業界に活かせるポイントはないのか
この2点について、考察してみます。
裁量労働制×在宅ワーク×正社員の働き方とは?
在宅ワークといっても、その中にはいろんな働き方があります。
今パッと思いつくものでも・・・
- フリーランス
- 副業
- 個人事業
- 業務委託
- 正社員(裁量労働制)
私は最後の、裁量労働制による正社員としての在宅ワークの働き方があることを今回初めて知ったので、まとめてみます。
結論から平たくいうと、
自分で労働時間配分や業務の進め方を調整して労働すること。(すごくざっくり)
ちなみにここで私は、在宅のフレックスタイムとどう違うの?と疑問に思いました。
調べてみると、裁量労働制とフレックスタイムの大きな違いは、
- 裁量労働制
→実際の労働時間を測らず、あらかじめ定められた労働時間分働いたとする、みなし労働制。 - フレックスタイム
→日々の始業時刻と終業時刻を自分で決め、労働時間をカウントする。
ということみたいです。
もう少し固い情報を調べてみると、厚生労働省で裁量労働制の定義はこちら。
業務の性質上、業務遂行の手段や方法、時間配分等を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある業務として厚生労働省令及び厚生労働大臣告示によって定められた業務の中から、対象となる業務を労使で定め、労働者を実際にその業務に就かせた場合、労使であらかじめ定めた時間働いたものとみなす制度です。
この「定められた業務」がクセモノで、19種類の業務に当てはまるものに限られるとのこと。
それが以下の引用です。
(1) 新商品若しくは新技術の研究開発又は人文科学若しくは自然科学に関する研究の業務
(2) 情報処理システム(電子計算機を使用して行う情報処理を目的として複数の要素が組み合わされた体系であつてプログラムの設計の基本となるものをいう。(7)において同じ。)の分析又は設計の業務
(3) 新聞若しくは出版の事業における記事の取材若しくは編集の業務又は放送法(昭和25年法律第132号)第2条第4号に規定する放送番組若しくは有線ラジオ放送業務の運用の規正に関する法律(昭和26年法律第135号)第2条に規定する有線ラジオ放送若しくは有線テレビジョン放送法(昭和47年法律第114号)第2条第1項に規定する有線テレビジョン放送の放送番組(以下「放送番組」と総称する。)の制作のための取材若しくは編集の業務
(4) 衣服、室内装飾、工業製品、広告等の新たなデザインの考案の業務
(5) 放送番組、映画等の制作の事業におけるプロデューサー又はディレクターの業務
(6) 広告、宣伝等における商品等の内容、特長等に係る文章の案の考案の業務(いわゆるコピーライターの業務)
(7) 事業運営において情報処理システムを活用するための問題点の把握又はそれを活用するための方法に関する考案若しくは助言の業務(いわゆるシステムコンサルタントの業務)
(8) 建築物内における照明器具、家具等の配置に関する考案、表現又は助言の業務(いわゆるインテリアコーディネーターの業務)
(9) ゲーム用ソフトウェアの創作の業務
(10) 有価証券市場における相場等の動向又は有価証券の価値等の分析、評価又はこれに基づく投資に関する助言の業務(いわゆる証券アナリストの業務)
(11) 金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務
(12) 学校教育法(昭和22年法律第26号)に規定する大学における教授研究の業務(主として研究に従事するものに限る。)
(13) 公認会計士の業務
(14) 弁護士の業務
(15) 建築士(一級建築士、二級建築士及び木造建築士)の業務
(16) 不動産鑑定士の業務
(17) 弁理士の業務
(18) 税理士の業務
(19) 中小企業診断士の業務
次に、舞台業界において裁量労働制が成り立つのか、私なりに考えてみました。
「裁量労働制×舞台業界」の考察
先述した19種類の業務から、舞台業界に関係ありそうな項目をピックアップすると、3つになるかなと思います。
- (4) 衣服、室内装飾、工業製品、広告等の新たなデザインの考案の業務
- (5) 放送番組、映画等の制作の事業におけるプロデューサー又はディレクターの業務
- (8) 建築物内における照明器具、家具等の配置に関する考案、表現又は助言の業務(いわゆるインテリアコーディネーターの業務)
一つずつ考察していきます。
衣裳デザイナー
1つ目の、【 (4) 衣服、室内装飾、工業製品、広告等の新たなデザインの考案の業務 】
この業務は、舞台業界でいう「衣裳デザイナー」が当てはまりそうです。
衣裳デザイナーの主な仕事といえば、
- 台本を読む
- デザインにあたって必要な資料を集める、調べる
- 衣裳をデザインする
- 各スタッフと打ち合わせする
などでしょうか。
確かに、打ち合わせが電話やスカイプなどで出来れば問題なさそうです。
また、デザインの共有もPDF送付で可能なら、問題なさそうです。
仮に実物を見たり対面での打ち合わせ、現地調査が必要になるとしても、必要時に出勤するか出張のような扱いで出来るような気もします。
ただし、プランナーとしての仕事が当てはまるのであって、「衣裳製作」は難しいのかなと思います。
考えてみると、衣裳製作するには作業スペースや資材が整っている必要があるし、在宅だったら家汚れるし、子供がいるなら衣裳が傷つく恐れもありますね。
ただ実際は衣裳デザイナーさんの職業人口はとても少ないので、裁量労働制とか難しいことを考える前に、フリーランスで働くのが現実的なのかなとも思いました。
プロデューサー、制作、演出助手
2つ目は、【 (5) 放送番組、映画等の制作の事業におけるプロデューサー又はディレクターの業務 】
こちらは、プロデューサー・制作・演出助手が当てはまると思いました。
舞台業界に当てはめてよいのか悩みましたが、一番興味ある分野だったので考察してみます。
まず、プロデューサーや制作の主な仕事をまとめてみます。(当然場所によって異なりますが広範囲にまとめています)
- 公演を打つ日程、場所、資金の調達方法の検討。
- スタッフ、劇場、稽古場等の確保。
- チラシを作成し、配布する。デザイナーの確保。
- SNS、HPなど情報発信の検討、運営。
- 稽古場運営、作品のチェック
- 劇場との打ち合わせ
- 公演期間の楽屋準備、受付対応
- 当日パンフレットやアンケートなどの準備、手配
- 票券管理
- 公演終了後に各署精算
- 助成金があれば、必要報告書を書く。
次に、演出や演出助手の主な仕事をまとめます。(当然現場によって異なりますが広範囲にまとめています)
- 香盤作成
- スケジュール管理
- 衣裳合わせ
- プロンプ
- 稽古代役
- 稽古場でのミザンス(動きや居所など)記録
- 各スタッフとの連絡調整
ここで一つ私の疑問が生まれたのは、プロデューサーとディレクターとマネージャーってなんだっけ?という疑問。
様々な見解がありますが、私のまとめはこちら。
- プロデューサー
→新しい機会や価値観を提案・ナビゲーションできるように、場や機会を先回りして提供する役割。デスクワークで大きな枠組みを決める。 - ディレクター
→現場演出の役割。 - マネージャー
→作家(ここではディレクター、デザイナー、クリエイターなど)がやりたいことを具体的にする役割
舞台業界においては、プロデューサーとディレクターとマネージャーはなかなか棲み分けがなされませんが、
【 (5) 放送番組、映画等の制作の事業におけるプロデューサー又はディレクターの業務 】
この業務の中に、舞台業界における制作・演出助手の仕事も、含めて良いのではないでしょうか。
ただし演出助手の仕事は、稽古場など現場での業務の比重もかなり大きいので、裁量労働制にするにはかなり難しい部分もあるかなとも思います。
制作と演出助手のハイブリッドなら大いに有り得そうですね・・・。実際ハイブリッドに仕事している方は多いハズですし。
舞台美術家、照明プランナー
最後はこちら。【 (8) 建築物内における照明器具、家具等の配置に関する考案、表現又は助言の業務(いわゆるインテリアコーディネーターの業務) 】
こちらは、舞台美術家や照明プランナーが当てはまるかなと思います。
ベクターワークスとかCADソフト使ったり、仕込み図の図面を書いたりする作業が多いです。
実際、裁量労働制で働いている人はパソコンを駆使している人が多いので、専門ソフトを扱えると在宅ワークに強いな・・・と思います。
裁量労働制×在宅×正社員とは?舞台業界に活かせるか考察のまとめ
裁量労働制に当てはまりそうな舞台の仕事を、独自目線でまとめてみました。
- 衣裳デザイナー
- 制作、演出助手
- 舞台美術家
- 照明デザイナー
これら4つに共通して思うことは、いずれもプラン・企画など「考える」作業であることです。
当たり前といえば当たり前かもしれません。
現在は、舞台業界で裁量労働制在宅ワーク正社員を実施しているところはまだ皆無だと思います。
でも女性が舞台業界で大きく活躍してきている現代、今後登場してきてもおかしくない分野だと思うのです。
「舞台業界×働きやすさ」。これからもブログを通して向き合っていきます。
最後に、今回の記事を執筆するにあたって参考にしたサイトをまとめます。
- ある裁量労働制在宅ワーク正社員の1日。〜3児のワーママのスケジュール公開〜
- 在宅勤務の裁量労働制社員になりたいなら、社会で揉まれて専門職になれ
- 専門業務型裁量労働制
- 舞台芸術の制作は調整のプロ。案件成功に導くキーマンの発想とは
- フレックスタイム制とは?裁量労働制とどう違う?誰にどんなメリットがある?
最後までお読みいただき、ありがとうございました。